春の夏⑦ 新たな出会い
夕方とはいえ、夏の空はまだ真昼並みに紫外線を放ちまくっている。
駅向こうにあるピザ屋のバイトを終え、おでこに付いたキャップの痕を前髪で隠しながら歩いている。
書道教室の前を通りかかった時だった。ずっと気になっていたことの答えが分かった。月光に照らされた夜空の雲を見た時にふと感じた『まるで何かのよう』この何かが何だったのか分かった。
勿体付けずにいうと、それは水墨画だ。
うっすらとした濃淡だけで表現されたモノクロな世界は物静かで儚くて、なんだか惹かれる。
わびさびを覚えた15の夏。今時の女子高生にあるまじきいとおかし。悟りを開くのも時間の問題かもしれない。
ここに水墨画ないかな? 大きな窓に貼られた大量の習字の隙間から中を覗いてみる。すると「あれ?」って声がした。教室からでてきた女子が発した声だった。
その人は一個上の先輩で地元のお店のチラシモデルをしたり、ローカルだけどテレビCMにも出たりしている。更に言っちゃうと有名アイドルグループ入りを目指している田中美和さんだ。
涼し気な雰囲気の清楚系美人で、実はわたし大ファンで、更に実をいうとめっちゃタイプで、更に更にを重ねていうと、内緒なんだけどちょくちょくオナニーのネタにしている。その美和先輩がすぐそこにいる。
「一年の夏月春ちゃんだよね? 入塾希望?」
「いえ、その、あの、水墨画、あるかなって……」言葉も身体もカクカクしながら答えた。
先輩は「水墨画……」って呟くと考えこむようにして黙った。
心当たりを探しているのかと思ったんだけど、予想外の言葉が飛んできた。
「それ、私にくれないかな?」
え? それってどういう事だろー?
美和先輩は声を潜めてアイドル活動の戦略を話しだした。
「プロフィールに書くのに変わった趣味が思いつかなかったから取り合えず書道してるんだけど、アイドルと書道の組み合わせは珍しさがまだ弱いんだ。でも、水墨画を描いてるアイドルっていないからキャラ立つよね。だからその趣味、私に頂戴」
語尾がちょっとお茶目な感じで、微笑みながら首をちょこんと傾けて言った。
「全然、使って下さい! 著作権放棄します!」敬礼しそうな勢いで即答した。
先輩は口を手でふさいで吹き出した。
それにしても可愛い。可愛い過ぎる。見惚れているわたしの唇に先輩の人差し指の先がふれ「秘密だよ」って言った。
これは一体なんだろうか? 妄想の中では、あんな事やこんな事までしていたのに、指先で触れられただけで頬が熱を帯びた。一生ファンであり続けます!
わたしの体重の半分はどこに消えたのだろー? 足の底は地面についているんだろうか? 今なら走り高跳びの高校生記録を余裕で塗り替えられそうだ。
ふわっふわな感触に包まれ家に向かった。この時のわたしの中に一つだけ決定事項があった。帰ったら美和先輩でオナニーする!
性欲があふれた15の夏。さらば束の間のわびさび。わたしの上空にエロスの女神が降臨し、高気圧と共に居座るそうだ。
わたしは気分を高めるべく、青いエッチな上下を取り出そうとランジェリーボックスを開いた。その時LINEがきた。美和先輩だった。『電話で話せる?』わたしの心拍が異常な数値を示した。と思うくらい心臓がドキドキした。『いつでもよろこんで!』テンション上がりまくりの返事をしたら直ぐにかかってきた。
先輩は今、新しいアイドルグループのオーディションを受けていて4次審査の演技でギャル役に挑戦するらしい。そこでわたしに演技の練習に付き合って欲しいって言ってきた。
見た目がギャルっぽいってだけでギャルの定義も生態もこれっぽっちも知らないんだけど。それでもいいからって言われた。
どーしよーって思ったのは電話を切ってからだった。お家の人とかいるよね? できるだけ真面目な格好がいいかな。いや、先輩はギャルなわたしを買ってくれたんだからメチャギャルで行ったほうがいいかな? 思考がまとまらない。
服装に悩んで悩んで悩んで、わたしの頭が熱くなってきた。もうギブアップ。いや、休憩ということにしよう。
見せる予定なんてないけど、下着は青いエッチな上下で行くことにした。でも、なんで? なんでだろー……。休憩といいつつ、まるで休む事のないわたしの思考。とにかくそう決めちゃったんだからそれはそれでいいや。取り合えず一時的に上がってしまった知恵熱をさまさなくちゃ。そうだ、わたしにはしようとしていた事があった。
わたしはベッドに上がって壁に背中をつけて座った。
目を閉じて、唇に先輩の指先が触れた事を思い出す。それから、美和先輩の部屋で演技の練習でキスをして……
わたしは妄想の中の先輩とエッチしながらTシャツの上から自分の胸に触れた。ふもとから徐々に頂上へと、らせん階段を上るように指をまわした。
先輩はどんな下着なんだろう? やっぱり白だよね。意外と赤だったりして、いやシックな感じで黒とかもありか。
妄想の中でクルクルと色が変わる先輩のブラのホックをわたしは外す。それに合わせて自分のブラのホックを外す。先輩の胸にふれるつもりで自分の胸に触れる。乳輪の縁をじらしながら円を描く。性的な気持ち良さが乳房に浸透するように広がっていく。
ホットパンツの生地の上からあそこに掌をあてて温めるようにしてゆっくり上下に動かす。Tシャツの中から手を出して生地の上から乳首をさする。右手をお腹からホットパンツの中に差し込んで今度はパンティの上から割れ目を指先でなぞってみる。固くなってきたクリを右手の中指で下から弾くようにして引っかける。左手で乳首を、右手でクリをこする。気持ちいい……。
乳首が完全にたってTシャツの中から居場所を知らせてくる。その先をかすめるようにして指先で刺激する。親指と人差し指と中指の先で乳首を摘まんで軽く引っ張る。足の指の裏あたりに微弱な電気みたいなのを感じる。
「ねえ春ぅ~」ノックと共にお姉ちゃんの声がした。
幸いなことにドアは開けられることなく「ちょっと買い物行ってくる」という言葉が投げかけられた。
わたしはいくらなんでも不自然すぎな口調で「行ってらっしゃい」を声にしたが、足音は止まることなく、玄関ドアと鍵が閉まる音がした。
危ないところだった。わたしの左斜め前がこの部屋のドアだから、開けられていたら大惨事だった。
なんか欲求が引っ込んだ気がしたが、それは一瞬だった。
早めにイッとかなくちゃ。でも、直ぐには帰ってこないだろうからホットパンツを脱いだ。膝を軽く立てて足を広げて爪先を丸める。
パンティの中が蒸し暑くなっている。割れ目の奥が湿っているのがわかる。中指でしつこくクリを愛撫しながら人差し指と薬指で鼠径部を刺激する。
「あぁぁぁ……」どうしていつも声が出るんだろう? 熱い息と一緒にこみ上げてくる。でも、今ならお姉ちゃんは居ないから、ちょっとくらい大きな声が出たってかまわないよね。
わたしはいつもよりも激しく身体を愛撫した。Tシャツの上から乳首を引っぱる。わざと大きな声を出してみる。「あぁ気持ちぃ、ぃっ……」
自分の声で高まった。いっちゃいそう。乳首をさする指の動きを更に早める。反対の手の指先を何度もクリに引っかける。クリがジンジンして足の裏にじわじわとくすぐったい電気が流れる。身体が小さく揺れる。
「あ、あ、あ、ぁ、ぁっ……ぃ、ぃ、ぃく、いく、いくっ!」
本気でイっちゃった。粘り気のあるエッチな液体がパンツの生地から沁みだしている。
いつもより濡れた気がする。隣の部屋にお姉ちゃんがいない時に気兼ねなくするオナニーは格別だ。
気が付けば夜の七時。
いや、夜というには気が引けちゃうような青い夏の空が外にある。
続く
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