春の夏⑤ お姉ちゃんと⁉
家に向ってブラブラ歩いているとLINEの着信音がした。何気に開くと香耶ちゃんからだった。
『どうして避けるの? 私、何か嫌われるようなことした?』
全部読む前に足がピタっと止まった。アスファルトの熱が靴底から足の裏に伝わってくる。
気付かれてた――
急に視界がせまくなって目の前が暗くなった気がした。
これを「お先真っ暗」っていうんだね。いつだったかお兄ちゃんが言った時に間抜けな響きがしたからバカにしちゃったけど、今のわたしには、とてもしっくりくる。
わたしは後悔と罪悪感を抱え込んだ。ただただ炎天下で立ち尽くした。暑い自覚はあるけど、それに対してどうこうしようとする自分がいない。
香耶ちゃんの言葉を見つめているうちに頭の中が勝手に対処法を検討しだした。
『なんのこと?』って、とぼけてみようか? ダメダメ。絶対ダメだよ。
わたしは一瞬、本当のことを全部打ち明けてしまおうかと思った。でも、勇気がでない。香耶ちゃんから何か追加が送られてこないか? 画面を見つめていても何も起こらなかった。
やけに切なくなって、香耶ちゃんを好きだって気持ちがケタ違いに膨らんだ。喉の奥が窮屈になった。涙腺の蛇口が壊れた。いくつもの涙が地面に落ちて蒸発した。
どうしたらいいんだろう? わたしは、お兄ちゃんが使っていたもう一つのダサい言葉を自分にぶつけた。
「肚をくくれ」
香耶ちゃんに全部伝える! と、いいつつ、通話マークの上を指先が彷徨いまくった。
やっぱり、わたしの決意は柔かった。
でも、でもでも、今回は違う。わたしは通話マークを押した。呼び出し音が鳴ってすぐ、手が離せないのか、今は出られないっていう抑揚のない音声が流れた。
いつものわたしなら、ここで諦める。でも、今のわたしは違う。そう、わたしは肚をくくったのだ! この機会に打ち明ける! 勢いのまま文字を打ち始めた。
『香耶ちゃんへ わたしは中学二年の時に』
ここまで打ったら香耶ちゃんからメッセージがきた。
『ごめん。間違えたみたい』
何故か急に意気込みが消えた。
「肚をくくるって……ださっ」
打ちかけのメッセージを削除したら膝の力がぬけてその場にしゃがみ込んだ。
太陽熱をたっぷり蓄え、熱の塊と化し真っ赤な顔をしたわたしが帰宅すると秋姉ちゃんが慌てまくった。
ずっと外にいたことだけ言うと、手を引っ張ってバスルームに連れていかれ、そのまま頭から冷水シャワーをぶっかけられた。
わたしは椅子に座ったまま膝と膝の間にはさんだ両手の親指あたりを見つめた。
「青春するなら健康的な無茶にしなさい」わたしの頭頂部にシャワーの粒にまぎれた意味不明な言葉が降り注いだ。でも、お姉ちゃんなりの優しい言葉だった。
またしても、喉の奥が締め付けられて涙が出てきた。
しばらくしてお姉ちゃんの掌がわたしのおでこで熱を確認した。大丈夫だと思ったんだろう。いくらか明るい声で「ついでに洗うか」って言ってシャンプーを始めた。
安心したからなのか、お姉ちゃんの中途半端な独り言がはじまった。
「わたしまでびしょびしょだよ。まぁいっか、ついでにシャワー浴びちゃうか。うん、そうだそうしよー」とかなんとか。
秋姉ちゃんは、わたしのTシャツを脱がせて、ブラのホックを外した。カップがはらりと前にこぼれ、胸がこんにちはした。されるがままのわたしに確認事項が告げられる。
「パンツもわたしが脱がせようか?」
わたしは首を横にふった。お尻をちょっと持ち上げて短パンを脱いだ。お姉ちゃんはそれを隅っこに放り投げて「はいはい。もう一枚」って言った。
わたしはびしょびしょに濡れてお尻に張り付いたパンツを脱いで隅っこに放り投げた。
いつの間にか秋姉ちゃんも全裸になっていた。わたしの服の山に黒いブラとTバックが混ざっていた。
お姉ちゃんに背中を洗ってもらったのはいつぶりだろ? わたしが小学生のころはよく一緒に入ったよね。わたしは秋姉ちゃんにいっぱい可愛がってもらった。
泡がたっぷりついたスポンジがわたしに差し出された。
お姉ちゃんの背中は白くて華奢だった。小さな胸の先にピンクに近いベージュ色した乳首が見えた。腕を洗って横腹も洗って、その流れで脇の下にもスポンジをあてた。
「あぁ気持ぃ」お姉ちゃんの声がバスルームに艶っぽく反響した。
ほんの少しだけ秋姉ちゃんの乳首が起ってきた気がする。
「はい。ありがと」そう言って出された手の上にスポンジをのせて返した。止められなかったらわたし、胸も洗ってたかもしれない……
脱衣所兼、洗面所で身体を拭いていると秋姉ちゃんが隣に並んできた。洗面台の鏡に二人の裸が映った。
改めて見るお姉ちゃんの胸は小さいけれど、乳房も乳輪も乳首も整っていて綺麗だった。
「大きさはあんたに負けたか」
そう言って乳房を横から突いてきた。乳首のめちゃ近くだった。
わたしはお姉ちゃんのAカップの胸を鷲掴みにした。
「きゃー、あんた何すんの!」
悲鳴を上げた時の顔が面白い。わたしはもう一度お姉ちゃんの胸を揉んだ。
乳首が掌に当たって快感を覚えたことに戸惑った。
「ちょっとあんたは」
秋姉ちゃんがわたしの胸に手を伸ばしてきた。わたしは悲鳴をあげながらも手加減して身体をそらした。
お姉ちゃんの手がわたしの胸を鷲掴みしようとしてきた。乳首の先が秋姉ちゃんの掌と指の間をかすめた。その時、乳首から足の裏に電気みたいのが走った。
わたしも本気になって反撃した。どうせなら勃起した秋姉ちゃんの乳首を見てやる。伸ばしたわたしの手をすり抜けると、お姉ちゃんはすかさず後ろに回り込み、わたしの両手が動かないようにぎゅっとしがみついてきた。お姉ちゃんの胸が乳首が背中にあたっているのが分かる。
ちょっとヤバイかも。なんだか、おへその奥の方からエッチな気分がこみ上げてきた。
「お、お姉ちゃん……」
「なに?」
「も、もう止めよ……」
わたしの異変に気付いたからか「そ、そうだね。はいはい止め止め」って、なんだかわざとらく言ってまだ濡れたままの身体で出て行った。
秋姉ちゃんのあそこは無毛だった。クッキリした割れ目が真っすぐに伸びてた。凄く綺麗だった。わたしも全部剃ろうかな。
晩御飯はわたしがベランダで育てているバジルの葉をのせた大好きなトマトの冷製パスタだった。何もなかったかのような、いつもの食卓だった。
その後、香耶ちゃんから連絡はなかったけど、部屋に戻ってLINEで返信した。
『こっちこそ遅くなってごめん。ちょっと色々あって。ホントごめんね』
二つ目のごめんは、返信が遅くなったことじゃない、違うごめんを込めてメッセージを送った。
もう一度、香耶ちゃんのメッセージを見る。
『ごめん。間違えたみたい』
この言葉をそのまま信じていいんだろうか?
香耶ちゃんが見たのは間違いなくわたしだ。
一つ前のメッセージを見る。
『どうして避けるの?』
わたしは香耶ちゃんから隠れた。避けたってとられても間違いじゃない。
『私、何か嫌われるようなことした?』これだけは断じてない。
「断じてない」だって。またお兄ちゃんが使いそうな言葉がでてきた。
ベランダに出てみた。今夜も熱帯夜だ。三階からみる景色は空が狭い。
続く
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