💞L恋小説💞 春の夏② セカンドキス

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春の夏② セカンドキス

 はじまった。そう書いちゃったけど、香耶ちゃんからなんの連絡もこない。夏休みだから学校ないし。「おはよー」とか挨拶LINEするのもなんか違う気がする。それに二人の関係について特に何も決めたりしてない。キスしたからって付き合ってるみたいな態度ってどーなんだろう? 香耶ちゃんはどうしたいのかな? いや、わたしはどうしたい? 大事なのってそこだよね。

 花火の帰りに香耶ちゃんが言った。「この前、一緒に買ったの今日付けてるんだ」

 そういえば色違いを買ったこと言ってないや。洗面所の角に干したブルーのエッチな下着を見上げて歯を磨きながらそんな事を思い出してる。

 初めてこの下着を付けた時、正直お尻がこそばゆくて、でもそれって嫌じゃない気持ちいいこそばゆさで、あそこがぢゅんってなって、なんかいけない気持ちになった。

 歩いてたらちょっとだけ食い込んで気持ち良かったのと、こんなにエッチな下着を付けてるって罪悪感みたいな感覚が混ざって興奮した。

 パンティの上から割れ目に指をあててみる。ちょっとだけ中指を曲げて下から上にクリをひっかけるようにしていたずらする。布の上から触ると気持ちいいんだよね。

 絶対、誰にも見せられないんだけど、パンティを後ろからグイって引っ張りあげてTバック状態にした。食い込んだお尻を洗面台の鏡に写してみる。いつの間にか乳首が勃ってる。Tシャツの上から中指のお腹で乳首に触れる。気持ちが高まってきちゃった。中指を下着の上から割れ目に食い込ませる。クリが固くなってきた。左手で乳首を、右手でクリを擦った。

 香耶ちゃんとのキスを思い浮かべた。唇がすごく柔らかくて気持ち良かったな。

 指先に力が入った。下からクチョってエッチな音がした。

 あ、軽くいっちゃった――

 皆、こんな気持ちになるからエッチな下着を買うのかな? 

 買う時のドキドキも味わいたいな。この前は秋姉ちゃんに邪魔されたからなー。今夜ドンキに行っちゃおうかな。もっと安いのもあったよね。もうワンセット普段着用に買おうかな。

 香耶ちゃん誘おうかな。でも、なんか恥ずかしいよね。香耶ちゃんはどんな気持ちでわたしを誘ったんだろー。

 香耶ちゃんもオナニーするのかな。浴衣の帯の上に乗ったバストは大きかったし、お尻も丸みがあって女性的だった。わたしなんかよりフェロモン出てるよね。セクシーな下着を付けてると身体にも影響あるかな?

 結局、夜になって一人でドンキに行った。日中は混んでるけど、夜になるとあまり人がいないんだよね。

 階段上って文房具コーナーの隣の隣。通路からもエッチな下着が丸見えだよ。

 奥に行こうとしたんだけど、足がピタっと止まった。香耶ちゃんがいる。思わず隠れちゃった。香耶ちゃんも好きだねー。やっぱりエッチ確定だな。

 そうだ!「香耶ちゃん見かけてついてきたらここに来るんだもん」とか言って声を掛けるのよくない? そうしよー。そんな名案を思いついたら「やだ香耶ちゃん」って声がした。

 吊り下げられた沢山のブラの隙間から向こうを見たら香耶ちゃんが同じ歳くらいの女の子と一緒にいた。わたしにした時と同じようにランジェリーを両手に持って「どっちがいいかな」って、多分わたしに聞いたのと同じこと言ってる。

 わたしって特別でもなんでもなかったのかな。香耶ちゃんはわたし以外とだってこんな風にここに来てる。それに、あの時よりも楽しそう。

 いや、ちょっと待ったわたし。こういうのってドラマなんかでよくある誤解ってやつじゃない? でもでも、これってどんな誤解なの?

 思い切って声掛けようか。無理無理。ハードル高いどころじゃないよ。高跳びのバーくらい高いよね。ベリーロールも背面飛びも、どんくさいわたしには無理だよ。LINEしてみようかな。え、でもなんて書くの……。

 一応、バッグからスマホ出してみた。電源入れてアプリ立ち上げて香耶ちゃんのメッセージ――

 そしたら「ちょっとヤダぁ」って声がして、顔を上げたら香耶ちゃんが胸に両手でタッチされてた。ヤダっていいながらめっちゃ笑顔で。

 あんな笑顔するんだね。なんか悔しいなって思った……

 香耶ちゃんにとってわたしってなんだろう? いや、待って。わたしにとって香耶ちゃんってなんだろう? 

 初めてのキスの相手だったんだけど。香耶ちゃんもそうだって決めつけてたんだけど、でもさっきおっぱい触られて喜んでたし、なんか見た目で判断したらいけない良い例なのかな。実は、めっちゃ遊びまくってて、わたしゲーム的に遊ばれたのかな。こんな事考えたって正解には届かないんだろうけど。答えを教えてって言えないよね。

 ドンキで買って食べながら歩いて捨てたであろうお菓子の袋が落ちている。それを蹴とばそうと思ったその時だった。「春ちゃん」って声がした。振り向いたら同じ中学だった真理江ちゃんがお母さんと一緒に立っていた。

 「これ、わたしじゃないからね」ってゴミを指さして言ったんだけど、まるで聞いていなくて、真理江ちゃんは母親が財布から出した5千円札をヒラヒラさせて「サイゼいこー」って言った。これが新五千円札か。キャラクターが新しくなったやつをこの時初めてみた。

 ミラノドリヤとドリンクバーを頼むと、真理江ちゃんは「同じので」と言った。

 卒業してから会ってないよねーとか、あの頃ああだったみたいな話してたんだけど、「春ちゃんさ、私がパパ活してたの知ってる?」って言ってきた。クラスの誰かにそんな事を話していたのを思い出した。

 ドリアの最後の一口をすくって口の中にいれていたスプーンを引き出しながら頷いた。

 「男ってさ、大人になってもバカだよね」

 いきなりそんな事言われても返答に困るよ。わたしは頷いたともとれるような感じでドリアを咀嚼した。

 そして真理江ちゃんは、その頃、父親の浮気が原因で夫婦喧嘩が起こったことを話しだしてこう結んだ。「ホントはさ、あの時、春ちゃんに止めて欲しかったんだ。パパ活」

 何故に、そんな大役をわたしに求めるんだろー?

 「春ちゃんってなんかカッコよくってさ。誰にも忖度しないじゃん」

 それって多分、虚像っていうやつだよ。

 「好きだったんだ、春ちゃんの事」

――はい⁉

 なんか終盤の脈絡が強引すぎてこの展開についていけない。

 「友達として」って言葉がいつまで待っても追加されない。

 いくつかの小さな氷だけになったグラスの底をストローで突いて間を持たせる。

 「ごめん。今の忘れて」

 それってよく聞くセリフだけど、そんな簡単に忘れられないよね。

 真理江ちゃんが伝票を取って立ち上がろうとした時、彼女のスマホが鳴った。相手は母親で、「ちょっとごめん」って言って席を離れた。

 わたしは帰ろうとして宙に浮かべたお尻をソファ―に下ろした。

手持ち無沙汰だったし、気になることがあってスマホを見た。

 こんな時になんだけど、香耶ちゃんからは、なんのメッセージもなかった。一緒にいた女子と楽しく遊んでるのかな? 今頃、チョコモナカジャンボを分け合って公園で線香花火でもしてるかもしれない。あの時、わたしにしたみたいに、ほっぺに不意打ちキスをするんだろうか? 確証のまるでない想像が、嫉妬心が、ささくれみたいに気になる。

 そしたら、真理江ちゃんが戻ってきて静かに座った。夕立ち前に見る山の上の黒い雲みたいな空気を身にまとっていて気まずい。

 思い切って声をかけようとしたら、眉をひそめて泣きそうな顔をしていた。

「私の誕生日に元に戻るって勝手に思ってた」

 やはり脈絡は不明だけど、悲痛さが充分に伝わってくる。

「離婚決定みたいで、母親、これから父親のとこ行くんだって」

 「真理江ちゃんは?」

 「家で待ってなさいって」

そう言って滲んだ涙をぬぐうと、立ち上がりながら伝票を手にした。

 わたしは真理江ちゃんの手首をつかんで伝票をとるとレジに行って会計を済ませた。なんか分からないけど、そうしなくちゃって思った。新五千円札を差し出す真理江ちゃんに「今日はいいから」って強く言った。

 真理江ちゃんの住むマンションの前に行くと地下の駐車場から彼女の母親が運転する赤いアウディが出てきて真理江ちゃんには気づかずに走っていった。

「春ちゃん。ごめん、ありがとね。おやすみ……」わたしの両手の指先を摘まむようにもって俯いたまま真理江ちゃんが言った。 

 マンションの九階から見る景色は別世界だった。わたしと姉の住む部屋は三階だから三倍以上の高さ。なんか普段よりも大気圏に近いぶん重力が弱く感じる。

 わたしは真理江ちゃんの部屋にいるんだけど、入るなり抱きつかれた。小柄な彼女の顔がわたしの胸に押し付けられている。それはエッチな感覚ではなく、今まで抱いたことのない感情がどこかに出現したみたいだった。

 「春ちゃん、ごめん、ちょっとだけ、ちょっとだけ、このままでいさせて」

さっきの感情が正体不明なまま実感をもってこみ上げてきた。

 わたしはかすれた声で「うん」と言った。喉が渇き過ぎてる。サイゼでドリンクもう一杯飲んでおけばよかったとか、こんな時に不謹慎なことを思ったりしたけど、わたしは抱きしめ返して頭を撫でていた。

 「さっきサイゼで言ったの本当だからね。あの時も、こうして春ちゃんに甘えれば良かった」真理江ちゃんはそう言って顔を上げた。

 電気も点けていない少し蒸し暑い部屋でわたしと彼女は見つめ合った。

「本当に春ちゃんの事、好きだから」

こう言われる前にキスをすることは決まっていた。語尾の「だから」という言葉が発せられたのは唇が触れている最中だった。

 真理江ちゃんの震える唇が、カラカラに渇いたわたしの唇を三回ほどついばんだ。昨日、香耶ちゃんとした時よりも長くて、もっと恋人っぽいキスだった。

 これって浮気なんだろうか?

 窓から夏の月光が差し込んでいる。

続く

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