💞L恋小説 春の晩夏21💞 ミッション・告白阻止!
先生……いや、瑞希ちゃんとのエッチは発見だらけだった。こんなに受け身に徹したのは初めてで、わたしは抱かれっぱなしだった。
夜に思い出してオナニーしたのは言うまでもない。やはりお盛んな15のわたしです。
そして、二人だけのサインも決めた。学校ですれ違ったりする時に、先に気が付いた方が人差し指と中指を立てる。相手もそれを見たらサインを返す。別に意味なんてなくて二人だけの挨拶みたいなものだ。
本日、9月30日だというのに、まだ暑いのはなんなんだろう? 今年の夏は異常過ぎる。それはそれとして、憂鬱なことがわたしを待ち受けている。お昼休みに瑞希ちゃんとお弁当を食べられない。微妙なヤキモチを妬くかもしれないので、「いつも昼になると居ないね。みたいになってるから今日は教室で食べる」って嘘をついた。
そうなのだ、お昼は新田さんの相談にのらなければいけない。ひと気のない場所っていうから美術室にしてみた。誰かいたらまた今度にしてもらって、そのまま曖昧にできないかなってほのかな期待をしたけど誰も居なかった。
わたしたちは窓辺に並んで座った。新田さんのお弁当はダイナミックで唐揚げがゴロゴロ入っていた。これを作った小母さんの顔が浮かんだ。
それにしても、これだけの量を食べてこの体型をよく維持できるなって感心する。そう、瑞希ちゃんほどではないけど新田さんもスタイルがかなり良い。
お弁当を食べ始めてすぐ、唐揚げを摘まみあげた箸がピタっと止まってご飯の上におろされた。
「春ちゃんさ、なんの相談か分かる?」
「うん?」分かっているけど、ご飯を食べながら首をかしげてみた。
「コーチの事なんだけど……」
諦めるって言ってくれないかな。前は瑞希ちゃんとか呼んでいたけど、それがコーチって呼ぶようになった。想いは割り切ったってことにならないかな。
「私、好きすぎて、告白したくてたまんないんだけど」
―― マジか。一気にきたな。瑞希ちゃんはわたしと付き合ってるなんて言えないし。なんとか告白回避。最低でも現状維持を目指さなきゃ。
「それってコーチと選手って関係までおかしくならない?」
「だから悩んでるんだ。ワンチャンあるかな?」
ないと思う。でもそうは言えない。
「私が告白してダメだったとしてもコーチなら割り切ってくれそうだよね?」
瑞希ちゃんならそうかもしれない。この際そうしてもらって、さっぱりした方がいいのかな? でもでも、ダメなことを知っているのに背中を押すのはどうなんだ?
―― あ、ちょっと気が付いたかも。
「新田さん、目的がなんか違くない? 付き合いたいから告白するんだよね?」
「え? あ、うん」
やはり自覚してなかったみたいだ。ここは突きどころとみた!
「だったら、もうちょっとアピールとかして盛り上げてから告白した方がよくない?」
いや、なんだこれ、応援しているのか、わたし。
新田さんはお弁当箱のフタに箸を置いて窓の外の空辺りを見つめた。検討モードに突入した模様。なんとか思いとどまるように仕向けてみる。
「やっぱりタイミングを見極めたほうがいいと思う。なんかよくわからないけどバレーもさ、トスとアタックのタイミングが合わなかったらダメじゃない?」
新田さんは腕を組んで机の一点をじっと見つめた。さっきよりも深く考えているのが分かる。これで一旦でもいいから引き下がって欲しい。
「そしたら春ちゃん応援してくれる?」
「う、うぅん?」ありったけの曖昧さをにじませた疑問形で応えた。
まあ、上出来だ。なにしろ告白回避!
わたしのお弁当箱にお礼の唐揚げが置かれた。あの豪快な小母さんの味がする。
新田さんと廊下を歩いていると瑞希ちゃんがずっと先を横切った。
「あ、コーチ」
呼び止めそうになった新田さんを慌てて止めた。
「なんで止めるの?」
「いや、えと……」
瑞希ちゃんとのご飯を断っておきながら新田さんと二人でお昼食べてたなんてしれたら絶対にヤキモチ妬かれる。どう誤魔化したらいいんだ。新田さんがわたしの顔を覗き込んでくる。
「わたしあの人苦手だから」
「あ、そっか」
わりとあっさり切り抜けた。
しかし、5時間目の授業が終わって直ぐ、新田さんに呼ばれた。10分しかないから美術室にいく時間はない。教室からできるだけ離れた廊下の隅っこで声を潜めながら会話した。
「バレー部の子が昨日、コーチとバッタリ会ったんだって」
あ、お蕎麦屋さんのこと言ってる。でもなんでわざわざ来てまでわたしにそれを? 嫌な予感がするんだけど。
「静かな感じの従妹の子と一緒だったんだって」
「う、うん」
「私もデートしたい!」
「ちょちょっと新田さん、声大きいって」
彼女は周りが見えていない状態に突入したらしい。
「じゃ、じゃあさ、バレー部の皆で出かけようってあの人連れ出して、そこで新田さんが独占したりするとかさ。ほら美術館の時みたく」
「いや、部活の先輩を差し置いてそれは無理かな」
なんなのこれ。もうメンドクサイ。しかも話はこれだけでは終わらなかった。
「今日ね、月末の職員会議があってコーチも出ることになったから部活は無しになった」
「……うん」
「だから、やっぱり、今日、コクハクする」
「はあ!」思わず大きな声が出た。周りが見えないウイルスに感染したらしい。
「授業終わったら速攻で帰って着替えて校門前で待ち伏せして告白する」
「ちょちょっと早まらないでよ」
「だってさ、春ちゃんに選んでもらった服の出番ないいままで夏が終わっちゃうじゃん。今日を逃したらこんなチャンスこないかもしれないじゃん。これもタイミングじゃない? 私、アタッカーだからさ、トスに多少のズレがあっても合わせる自信ある」
軌道修正したはずの彼女の目的が『告白する』に戻ってる。美術室で説得したあの時間はなんだったんだ。
「春ちゃん、応援よろしくね」
「え、応援って」
「さっき約束したじゃん」
「や、約束?」あれで約束したことになってしまうのか……。
「ホームルーム終わったら迎えにくるから」
「え、迎えにって」
予鈴が鳴って新田さんが慌てて駆けていった。
廊下の先に瑞希ちゃんがいた。見てたのかな。わたしは人差し指と中指をそろえて胸にあてて見せた。瑞希ちゃんから返事はない。またしても嫌な予感がする。念のために二本の指を小さく振ってみた。サインは返ってくることなく瑞希ちゃんは真顔のまま戻っていった。
うわ、最悪だ。
続く
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※ 画像と記事は関係ありません。画像はAIアプリを使って生成したものです。
