💞L恋小説💞 春の夏⑭ 邪 ~よこしま~

L恋小説

春の夏⑭ 邪 ~よこしま~

 ベランダのバジルの葉っぱが食べ散らかされてるけど虫の姿が見えない。コーヒーをスプレーで噴きつけるという無農薬な予防法があるって秋姉ちゃんが言うから、安いインスタントコーヒーを探してみようと夜のドンキに出かけた。

 美和先輩とお別れして二日目な本日。昨日だってちゃんとバイトにも行ったし、意外と逞しく生きている。

 結局はこれでいいんだよね。
 もしも先輩といる写真を撮られてSNSなんかにアップされたら……。先輩が有名になっていればいるほど、あいつの目に付きやすくなる。
 家族が大騒ぎして、秋姉ちゃん巻き込んで都外に引っ越したのに、なんとか人を避けてきたのに、そんな何もかもが台無しになるかもしれない。だからこれで良い。良いんだって事にする。

 久しぶりに真理江ちゃんから連絡がきた。なんとなく一人で居たい気がして断った。これが香耶ちゃんからの誘いだったらどうしただろうか? 会ってみるのも良いかもしれないな。ってことは一人で居たいわけじゃないんだ……。
 結局、わたしは香耶ちゃんが好きなのか。そうだよね。別に美和先輩のことなんて好きじゃなかった。好きじゃなかった。好きじゃなかった……。

 それにしても、夜のこの町にはドンキ以外に行くところはないのだろうか? なんでこんな時に香耶ちゃんを見つけてしまうのだろう。しかも、この前の女の人と一緒にいる。二人とも笑顔で花火セットを選んでいる。

 そうだった、香耶ちゃんにはわたしをもてあそんでいる容疑が掛かったままだった。これから二人で花火するのかな。
 なんか、置いてきぼりを喰らったような感じがする。わたしの中の何か重要な部品がいきなり壊れた感じがする。
 何もかもがどうでも良くなってきた。

 『用事が無くなって丁度近くにいるけど、どうする?』なんだか偉そうな文をわたしは真理江ちゃんに送っていた。返事は直ぐにきた。
 『やった。久しぶりに会えるね』
 『今日は、両親とも帰ってくるの遅いんだよ』って追加情報付き。
 お姉ちゃんに『友達の家に行くから遅くなる』ってLINEして、久しぶりにマンションの九階にあるピンクだらけの部屋に来た。
 棚には岩下の新生姜のキャラクター、イワシカちゃんが仲間入りしている。全身ピンクな社長さんとのツーショット写真も飾ってある。家族旅行で栃木にあるミュージアムに行ったそうだ。
 正直、わたしにはどうでもいい。

 「電気、消してもらえる?」ベランダの窓から空を見ながら言った。曇りのくせに雲が見当たらない。
 「ねぇ~」真理江ちゃんが後ろから抱きついてきた。振り返って何のためらいもなく唇を合わせ、何のためらいもなく舌を絡ませた。
 真理江ちゃんは口の端から吐息を漏らし、頭をのけぞらせて言った。
 「今日は、めっちゃ強引」
 だからなんだっていうのだろう。こうなることを望んでいたくせに。
 腰をグイッと引き寄せてもう一度キスをする。
 Tシャツの上から胸を揉む。ブラジャーに包まれた膨らみをわたしの掌がもてあそぶ。
 「あぁ、気持ちいい」恥じらいのない素直な言葉がもっとと言っている。
 Tシャツをめくり上げるとピンクのハーフカップブラが乳房を下から持ち上げている。
 今度はブラの上から胸を揉む。
 「どうしたの?」
 「なんで?」
 「この前と違う感じがする」
 特に何も考えていなかった。前と同じようにとか、そんなことも何も。それだから敏感に伝わっちゃうんだね。できるだけ何もないふりをしてホックを外した。 

 白くて丸いバストに直に触れる。脱がせた時にはすでに勃っていた乳首を指先でいじると彼女は身もだえた。
 もう一度キスをすると、今度は積極的に舌を絡ませてくる。わたしは舌を絡ませながら胸に掌をあてた。乳首の先スレスレに触れるようにしてその感触を味わう。
 掌が乳首をかすめるたびに、彼女の身体がまるでけいれんでもしているかのようにビクビクと震える。
 首筋をたどって唇を南下させる。乳房の麓あたりに口をつけると、わたしの頭が撫でられた。美和先輩にしたように円を狭めながら乳首に向かって唇を……。

 流されきれない自分がこの行為を中断した。物理的には気持ちいいのに、ときめかないのは何故だろう?
 彼女は甘みを蓄えた目でわたしを見つめると身体を離し、ホットパンツのファスナーを下ろしながら言った。
 「誕生日にくれたやつだよ。これ」
言われてみれば、なんとなく見覚えのあるピンクのパンティだった。
 「来てくれるっていうから、履き替えちゃった」
 可愛げのあるセリフを言って抱き着いてきた。そう、可愛げのあるセリフだと認識できるのに、それを可愛いと感じれない。このいじらしさが何故か刺さってくる。

 わたしは真理江ちゃんの両肩をつかんで身体を離した。
 「ごめん。なんか、調子悪いみたい」
 「う、うん……」
 罪悪感なのだろうか? でも、誰に対して罪を感じる必要があるというのだろう? しいて挙げるならそれは香耶ちゃんでも美和先輩でもなく、目の前の真理江ちゃんになんだろうな。

 もう一度、窓の外を見てみる。雲もなく月もなく、ただただ中途半端に暗いだけの夜空がそこに広がっていた。

続く


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